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研究会活動案内(2008 年度)

学術講演会のお知らせ (2009/3/6)

 Vortrag von Prof. Dr. Monika Schmitz-Emans

(Universitaet Bochum, Komparatistik)

モーニカ・シュミッツ=エーマンス教授 講演会

(ボーフム大学、比較文学)

"Gedenken ohne Erinnerung? W. G. Sebalds Arrangements aus Erzahlung und Photographie"

『記憶なき想起?―W.G・ゼーバルトにおける物語と写真の配置』

Datum: Di, 17.03.2009, 16.00 - 18.00 Uhr  (2009年3月17日、火曜日)

Ort: Faculty Lounge, 6. Etage, Gebaeude fuer Geistes- und Sozialwissenschaften,

Universitaet Nagoya (名古屋大学・文系総合館6F、ファカルティラウンジ)

(http://www.nagoya-u.ac.jp/sogo/higasiyama.html参照:図中66番の建物)

Sprache: Deutsch (使用言語:ドイツ語 通訳なし)  

※ Freier Eintritt, keine Anmeldung noetig (入場無料、申込み不要) 

主催:日本独文学会東海支部・

    名古屋大学大学院・国際言語文化研究科、先端文化論講座

http://www.lang.nagoya-u.ac.jp/index.html

どうぞふるってご参集ください。

連絡先:山口庸子(名古屋大学国際言語文化研究科・先端文化論講座)

シンポジウムのお知らせ (2009/1/26)

追伸ですが、二つシンポジウムを紹介します。


来月の2月8日に大阪大学豊中キャンパスで下記の興味深いシンポジウムがあります。

http://gcoe.hus.osaka-u.ac.jp/090208symposium.pdf

http://gcoe.hus.osaka-u.ac.jp/workshop.html


「中欧の詩学」 エステルハージ・ペーテルをむかえて

《第一部》13:00−14:15

シンポジウムについて(三谷研爾・大阪大学)

エステルハージ来日記念プログラム(通訳あり)

作家紹介(Viktoria Eschbach=Szabo・チュービンゲン大学)

作家による自作朗読(『ハーン=ハーン伯爵夫人のまなざし』より)

記念講演:バミューダ・トライアングル―21 世紀の言語について

《第二部》14:30−16:00

【ハンガリー】中欧をめぐる奇想の書、『ハーン=ハーン伯爵夫人の

まなざし』を訳して(早稲田みか・大阪大学)

【チェコ】 ボフミル・フラバルとチェコの「笑い」―

「運命の被支配者」の詩学(石川達夫・神戸大学)

【ユーゴ】 抒情とアイロニーの化合物―ダニロ・キシュと中欧

(奥彩子・大阪大学)

《第三部》16:15−17:30

講演:中欧文学の「地詩学」(沼野充義・東京大学)

総合討論〜エステルハージを囲んで


それから少し先ではありますが、6月12・13日に日本病跡学会総会で興味深いシンポジウムがあります。ふるってご参加ください。

http://pathog.umin.jp/annual-meeting.html

第56回日本病跡学会総会

 次期総会は、名古屋大学(名古屋市千種区不老町)で行われます。皆様のご指導とご協力をえて、実り多い会にしたいと願っております。多くの方々のご参加を期待しております。

第56回日本病跡学会総会 会長 

         鈴木國文(名古屋大学医学部保健学科)

テーマ:「時代の病理と創造」

開催日:2009年6月12日(金)・13日(土)

会 場:名古屋大学 東山キャンパス、シンポジオン

内 容:

特別講演 松浦寿輝( 東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻)

      演題未定

シンポジウム 仮題・『モダンの構造、モダンの病理』

     阪上正巳 国立音楽大学音楽学部 音楽教育学科

     山口庸子 名古屋大学(ドイツ文学)

     渡邊俊之 愛知医科大学精神科

     妙木浩之 東京国際大学(大学院/臨床心理学研究科)

     津田 均 名古屋大学学生相談総合センター

パネルディスカッション 仮題・『いま/漫画の表層、漫画の深層』

     村田智子 京都大学大学院人間・環境学研究科

     長滝祥司 中京大学(哲学)

     兼本浩祐 愛知医科大学精神科

研究会のお知らせ (2009/1/26)

先日の研究会は、無事終わりました。ご出席の皆様にはこの場を借りてお礼申し上げます。今回は、フロイトとは直接関係のないカント、ドストエフスキー、バフチンという3題噺で、中心となる作品が『カラマーゾフの兄弟』でした。といってもフロイトのドストエフスキー論とは関連性があります。

勝又さんのお話は、カントの『純粋理性批判』におけるテーゼ(独断論)とアンチテーゼ(経験論)のアンチノミーの紹介に始まり、ハイネの『ドイツ古典哲学の本質』から、このアンチノミーのドイツ思想への影響と、神殺しのカントという見解を指摘し、カントの「このように自然の歴史は善から始まる。それは神の業だからである。しかし自由の歴史は悪から始まる。それは人間の業だからである。」という立論を説き、ゴロソケルのドストエフスキー解釈に進みました。そこではカラマーゾフ老人殺しの真犯人がイワンの二律背反的知性に潜む「悪魔」だとし、その悪魔がイワンのカント的アンチテーゼ(無神論)の傾きにそって、スメルジャコフに身をやつして登場し、犯行に及ぶと解釈する。イワンの無神論的(アンチテーゼ)側面がスメルジャコフであり、道徳的信仰(テーゼ)の側面がアリョーシャとゾシマ長老であるとする。ただし、ここでいう悪魔は神を前提とする悪魔ではなく、無神論という名の悪魔である。次にバフチンの『ドストエフスキーの詩学』を引いて、イワンとアリョーシャの対話が実はイワンの内的対話にほかならず、それは良心の声と悪の声との対話となっている。つまりモノローグ的な声ではなく二つの分裂した声になっているとする。イワンとスメルジャコフとの関係については、スメルジャコフはイワンの分裂されざる声の実践的方向性を与えることとなる。こうした内的対話がアンチノミー形式をとっていることは注目すべきである。最後にドストエフスキーの作品史を踏まえて、流刑以前の初期小説群が下級官僚の世界を描いていたのに対し、流刑以降、悪と自由の問題が主題化され、自己分裂(無心論者と信仰者)の内部対話となっていく。自由が悪とのつながりで語られ、因果関係の支配によって自由は消え、犯罪の責任は問われず許される。「心神喪失」は自由意志の喪失であり罪に問われないわけである。「それぞれに独立して互いに溶け合うことのないあまたの声と意識、それぞれがれっきとした価値を持つ声たちによる真のポリフォニーこそが、ドストエフスキー小説の本質的な特徴である」(バフチン)・・・

カントやバフチンの複層的な理論を分かりやすくドストエフスキー論への応用として解説していただき何となく分かったような気になりました。また討論では、「悪」とはどのようなものか、相対的なものなのか、フロイトとの関連性はどうか、名前のアレゴリー性など多様な問題が出され、活発な議論となりました。

 その後の懇親会では、文学や文芸学の復興・復活に向けて連帯・行動しようという勝又さんのメッセージで盛り上がりました。例えばゼーバルトの読書会も一興ではないでしょうか。英語圏に比べて、ゲルマニストはまだあまり論じていませんから。

 これからまだ学内外の所用が山積していますので、今年度の研究会はこれで終わりにして、4月以降にまた始めたいと思います。その間、またテーマや方向性についてもご意見いただければ幸いです。4月にはとりあえず、夏学期本学客員教授のウィーンの女性ジャーナリスト、ユーディット・ブラントナーさんにお話していただく予定です。

研究会のお知らせ (2009/1/12)

 謹賀新年

本年もどうぞよろしくお願いします。早いもので本研究会も創設10年になりました。

 さて、昨年お知らせしましたように、新年最初の研究会を下記の要領で行いますので、どうぞふるってご参集ください。

 

日時:2009年1月24日(土曜日)午後3時より

場所:名古屋市立大学人文社会学部国際文化学科会議室(人文社会学部棟5階515号室)

発表者:勝又正直氏(名古屋市立大学看護学部教授、社会学)

題目:「カント、ドストエフスキー、バフチン − ゴロソフケルのドフトエフスキー論を起点にして」

参考文献: ゴロソフケル著(木下豊房訳)『ドストエフスキーとカント』(みすず書房)

        ミハイル・バフチン著(望月哲男・鈴木淳一訳)『ドストエフスキーの詩学』(ちくま学芸文庫)

HP:http://narrative.exblog.jp

お知らせと挨拶 (2008/12/16)

 2日間のシンポジウム「世界の移民・亡命文学の現況と可能性」は、成功裏に終わりました。ご参加いただいた方々にはこの場を借りてお礼申し上げます。どの発表もレベルが高く大いに知的刺激を得ることができました。また従来の英文学、独文学、仏文学、露文学といった学会の枠に閉じられる傾向にある文学研究を、より広い視座からとらえなおす絶好の機会になったと思います。やはり仏語圏、英語圏に比べると露・東欧語圏や独語圏の作家たちのテクストにはラディカルな混成的表現の形にはまだ達していない傾向がありそうです。いずれにせよ、移動、言語、アイデンティティというキーワードで扱われたそれぞれの作家たちの文学創造への強い意志と挑戦を真摯に受け止め、批評の言葉に変えていく努力を続けたいところです。

 また、こうした学際的な知的交流の場を今後とも設定して、問題意識を共有する研究者のネットワークを形成し、お互いに研鑽していきたいと思います。

 今後ともご協力をお願いします。

 なお、今週末12月20,21日(土曜、日曜)に名古屋大学 野依記念学術交流館にて、名古屋大学国際言語文化研究科主催の国際シンポジウム「見られる身体、読まれる欲望、多様化する家族」が行われます。ご関心の向きは、ぜひご参集ください。名古屋大学の越智和弘さんや、メンバーの山口庸子さんも発表されます。

HPは、http://www.lang.nagoya-u.ac.jp/bodies/

 来年の1月9日から11日まで、名古屋大学文学研究科付属日本近現代文学研究センター主催の国際シンポジウム「イメージとしての戦後」が行われますので、こちらもぜひご参集ください。広い視野から精力的に仕事されている坪井秀人さんが企画した魅力的なシンポジウムです。

HPは、http://www.lit.nagoya-u.ac.jp/~jculture/osirase.htm

 なお、次回研究会は、1月24日、勝又正直さんのドストエフスキー論ですので、後日またお知らせしますが、お忘れないようお願いします。

では皆様、どうぞよいお年をお迎えください。

研究会のお知らせ (2008/10/29)

 12月13-14日のシンポジウム「世界の移民・亡命文学の現況と可能性」の概要は、HP掲載の「世界移民文学シンポジウム2008」のとおりです。お申し込みは、transnational@hum.nagoya-cu.ac.jp 宛てにお願いします(氏名、専門分野、アドレスをご記入の上、シンポジウム参加希望とタイトルに書く)。世界における越境的な文学的営為を、国民文学を越えた視点から学際的に議論しあう貴重な機会になるだろうと期待しています。これは従来の専門別学会の枠を超えていく試みでもあります。どうぞふるってご参加ください。

 さて、次回の研究会は大分先になりますが、「鬼が笑う」来年の2009年1月24日(土曜日)午後3時から行う予定です。名古屋市立大学看護学部教授の勝又正直氏に、バフチンの文学論について発表していただきます。「いま、私が関心を持っているのは、ゴロソフケルの『ドストエフスキーとカント』(みすず書房)で提示された、カントのアンチノミーの解決の模索としてのドフトエフスキーの「多声的」小説という観点です。この観点からバフチンの哲学から文学論への移行を考えたい」とのことです。なおナラティヴ研究会を主宰していらっしゃいます。
HPは http://narrative.exblog.jp/ です。参考文献は、ゴロソフケル著(木下豊房訳)『ドストエフスキーとカント』(みすず書房)とミハイル・バフチン著(望月哲男・鈴木淳一訳)『ドストエフスキーの詩学』(ちくま学芸文庫)ですので、あらかじめご一読くだされば幸いです。こちらもふるってご参加くださるようお願いします。

   研究会

日時:2009年1月24日(土曜日)午後3時より

場所:名古屋市立大学人文社会学部国際文化学科会議室(人文社会学部棟5階515号室)

発表者:勝又正直氏(名古屋市立大学看護学部教授、社会学)

題目:「カント、ドストエフスキー、バフチン − ゴロソフケルのドフトエフスキー論を起点にして」

研究会のお知らせ (2008/10/25)

 先週の研究会は、無事終了しました。河津さんのご報告は、ジジェクのフロイト・ラカン解釈の紹介を中心にまとめられた詳細なレジュメを用意されていましたが、参加者のご要望により映画論が中心となりました。当初の本題といささかずれる主題について丁寧に説明していただいた河津さんには、厚くお礼申し上げます。また参加者の皆様にもこの場を借りてお礼申し上げます。

 簡単にご報告の概略をまとめておきます。(資料を中心にまとめようと思いますので、誤解などあればご指摘ください。)

 鏡像段階論(理想的自画像)とアウグスティヌスの『告白録』(弟への母の愛への嫉妬)とを統合させた思想として、人間の欲望は他者の欲望を模倣することで生じ、欲望は他者から欲望されたいと欲望することであり、欲望は同一化によって生じるとする。つまり他者の視点を取り込むことにより理想的自画像が生ずる。欲望対象は現前してはならず(母の不在)、喪失されてこそその痕跡のイメージという形で欲望対象として機能し、このイメージへの無意識的同一化が生じるとする。ラカンの場合、アンナ・Oの恐水症において見られる、アンナと家庭教師、アンナの父という三角関係において、家庭教師が犬に水をやるという行為が父への求愛を象徴し、それを嫌悪(嫉妬)するアンナは恐水症となる。アンナは父と犬の地点に立って同一化が生じる。ジジェクにとって構造主義的精神分析の対象(=無意識)は、個人の心の奥底に予め隠れている実体ではなく、<患者がその周囲の人々の間で生きている、と分析家によって解釈され、患者に内面化される、間主観的関係>である。ヒッチコックの映画がジジェクにとって恰好の分析対象になるのも、それゆえである。ヒッチコック『裏窓』ではマンションの住人(白昼夢)を見るジェフの視線は、恋人との行き詰まり(社会的現実)を投影するように、われわれは他者から送られてくるイメージを取り込んで真の自己像とみなしてしまう。例えば、ナチス時代のドイツ人が、抱えている象徴的行き詰まりを視線に取り込んで、ユダヤ人の忌むべき像が見えてくるのも同様である。また映像表現の歴史は、1モンタージュ以前、2モンタージュの時代を経て、3トラヴェリングへと展開している。@モンタージュ以前;映像の換喩的流れ(日常の因果的流れ)しかない。例)パン屋からパンを男が盗み、パン屋が追いかけ、男は逃げて、パン屋は・・・Aグリフィス(そしてエイゼンシュテイン)のモンタージュ;二つの別々に撮られた映像系列(A・B)を編集して、A1⇒B1⇒A2⇒B2⇒・・・と並べる。A系列だけからは得られない意味づけが、B系列によってA系列に属するショットに与えられる。例)家の中での平和な家族の団欒のショットと、その一家の経営する店に泥棒が忍び込むショットが交互に出てきて、観客は、何も気づいていない家族たちのショットに違和感を与えられ、じれったく感じる。切り返し;「Xが視線を向ける」(ショット1)⇒「Xに見られる(Xにとってトラウマ的な)シーンのクロースアップ」(ショット2)⇒「Xの行動がそれまでとは変わってしまう」(ショット3)・・・ドゥルーズが「感覚−運動イメージ」と呼ぶもの、例)望遠鏡で暇つぶしに遠くを覗く主人公→主人公の恋人が浮気している現場のクロースアップ→主人公はその現場へ狂乱の態で走っていく。Bヒッチコックのトラヴェリング;先行するシーンAから主人公と観客だけが他の一般の登場人物が持たない余分の知識を与えられ、そのずっと後のシーンBのなかで、全体のロングショットから、シーンBの一部分Cのクロースアップへと、連続的にトラヴェリングしていく。余分の知識を与えられた主人公や観客にとっては、(一般人からは変哲ないものと見られなくはない)Cは、隠れた別のコンテクスト(ラカンの言う無意識=象徴的関係)によって特別の意味を与えられ、それによって、シーンB全体にも、それまでなかった裏の意味が与えられる。(この辺は資料を転記しました。)・・・

 ジジェクの映画論は、フロイトやラカンの理論をわかりやすく構造分析したもののようです。ただ、ホロコーストやユダヤ人憎悪の問題など、幻想論や同一化理論で説明できるのか、といった疑問、日本における映画評論の諸問題(蓮実重彦や加藤幹朗などジジェクを批判する批評家たち)など、活発な意見交換が行われました。

さて、次回の研究会ですが、11月・12月ともに週末がふさがっており、大分先の1月になります。1月24日を予定しています。なお、その前に12月13-14日には、科研費Bによるシンポジウム「世界の移民・亡命文学の現況と可能性」を行いますので(HP上記「世界移民文学シンポジウム2008」)参照)、どうぞふるってご参加ください。会場の収容人数に限りがありますので、参加ご希望の方は、氏名、専門分野、メールアドレスをご記入の上、件名に「シンポジウム参加希望」と書いて、下記メールアドレス宛に、お申し込みください。transnational@hum.nagoya-cu.ac.jp


研究会のお知らせ (2008/10/6)

 既にお知らせしましたように、いよいよ来週土曜日にフロイト研究会を行いますので、ふるってご参集ください。その後、また懇親会も行う予定です。

日時:2008年10月18日(土曜日)15時より18時まで

場所:名古屋市立大学人文社会学部国際文化学科会議室(5階515号室)

発表者:河津邦喜氏(中京大非常勤講師、専門:フランス現代思想)

テーマ:ジジェクの紹介

 なお、メンバーの鈴木仁子さんの個人訳シリーズ、ゼーバルト『空襲と文学』が白水社より刊行されました。表題論文のほか、アンデルシュ論、ジャン・アメリー論、ペーター・ヴァイス論、細見和之氏の解説もあります。ゼーバルト・コレクションは『移民たち』『目眩まし』『土星の環』に続くもので、後に『カンポ・サント』『アウステルリッツ』と続いて6巻完結の予定です。ぜひ手にとってご覧ください。

またゲルマニストの方で、来年3月末の蓼科ゼミ(テーマはハイブリディティ)にご関心のある方は、ぜひ申し込みまれるよう、お願いします。申し込み締め切りは10月14日までです。

http://www.jgg.jp/modules/organisation/index.php?content_id=214

また、ドイツ映画祭2008が10月31日から11月3日にかけて東京で行われますので、ご関心のある方はどうぞお出かけください。

http://www.germanfilmfest.jp/

オーストリア現代文学ゼミは、作家Peter Waterhouse氏を迎えて、11月7-9日に野沢温泉で行われます。こちらもふるって参加してください。上記HP参照(墺現代文学ゼミナール2008)。

研究会のお知らせ (2008/9/20)

 台風一過、過ぎ行く夏の暑さと初秋の爽やかな風とが同居する、不安定な今日この頃ですが、皆様お元気でお過ごしのことと拝察します。

 さて、いよいよ来月18日に、研究会を再開しようと思います。下記の要領で行いますので、お誘い合わせの上、ふるってご参集くださるようお願い申し上げます。

 今回は、河津さんにフロイト理論の継承者ジジェクを紹介していただき、フロイトがどのように学問的に受容・継承・批判されていったのかを一緒に考えてみたいと思います。添付書類として以前に発表された原稿を送りますので、あらかじめ読んでくださると幸いです。ヒッチコックの『裏窓』や『サイコ』等の懐かしい映画論にもなっており、とても興味深いものです。

日時:2008年10月18日(土曜日)15時より18時まで

場所:名古屋市立大学人文社会学部国際文化学科会議室(5階515号室)

発表者:河津邦喜氏(中京大非常勤講師、専門:フランス現代思想)

テーマ:ジジェクの紹介

 スラヴォイ・ジジェクは、スロヴェニア出身のマルクス主義哲学者ですが、フランスのジャック・ラカンの後継者ジャック・アラン・ミレールのもとでラカン理論を研究し、それを分かりやすく解説するため、ミステリー小説や映画などサブカルチャーに適用してみせ、一時期日米欧のインテリを席巻しました。フロイト理論をジャック・ラカンは、治療とは患者の自我を強めることであり社会への適応だと捉える「自我心理学」とは異なる方向へ、症状を或る意味で正常なものとして理解する方向へ徹底させました。想像界・象徴界・現実界の区別、鏡像段階論、無意識は他者のディスクールである、欲望は他者の欲望である、生理的欲求・言葉による要求・欲望・欲動の区別、象徴的同一化と想像的同一化、対象a、などのラカン理論についてジジェクが『斜めから見る』『イデオロギーの崇高な対象』でどう説明しているか紹介したいと思います。

研究会のお知らせ (2008/7/29)

 暑中お見舞い申し上げます。

先週土曜日のフロイト読書会は、新しい参加者を含め、多くの参加者を迎えて盛況のうちに無事終了しました。参加してくださった方々にはこの場を借りてお礼申し上げます。

 中川さんのご報告では、イェンゼンの小説『グラディーヴァ』を詳細に論じたフロイト論文の内容を丁寧に紹介されて、当該作品における妄想形成と妄想治癒およびそこに見られる夢の例を精神分析学の方法論で分析・解釈しようとするフロイトの強い動機、意志、方法意識や手法が明らかになりました。作品のストーリー展開と心理療法との共通項として、抑圧されたものの意識化、感情の蘇生などが見られ、様々の空想が忘れられた幼児期の記憶の余韻であるといったテーゼ、妄想の受け入れ、治療手段としての言葉の二重化された機能など、『夢判断」以後のフロイト独自の解釈が明快に展開されています。結局はツォエによるハーノルトの妄想の治癒(ツォエへの求愛)という解釈で終わるこの論文は、1907年当時の「分析が治癒の役割を果たす」というフロイトの考え方を知るには相応しいものでしょう。討論では、太陽、蝿、蜥蜴、割れ目、ブローチなどの象徴性の問題や、グラディーヴァの芸術的モチーフの展開(シュルレアリスム絵画など)、夢、白昼夢、昼間の妄想、空想などの概念的差異、古代と現代の身体的交差(モダンダンスにおける古代的身体模倣)のモチーフ、フロイトの暗号的・アナグラム的な語り手法など、様々の問題について活発に意見交換することができました。議論の後、懇親会にも多数の参加者を得て議論し、有意義な夕べとなりました。

 さて、本研究会は8,9月はお休みにします。私は8月中ウィーンとベルリンに出張し、8月末には金沢のアジアゲルマニスト大会に参加・発表します。したがって次の研究会は10月になります。次回の研究会では、フランス哲学(ドゥルーズ、ラカン、ジジェクなど)専攻の河津さんにフロイトとの関連で何か発表していただく予定です。日程としては、一応10月18日ですが、ご都合の悪い人が多い場合は変更するかもしれません。日程についてご要望があればお知らせください。

 では皆様、暑さ厳しき折、どうぞくれぐれもご自愛ください。また元気で10月にお会いしましょう。

研究会のお知らせ (2008/7/7)

 梅雨あけも近づき、真夏の陽気となってきましたが、皆様ご健勝のことと拝察します。

 さて、既にお知らせしましたように、下記の要領でフロイト読書会を行いますので、お誘い合わせの上、ふるってご参集くださるようお願いいたします。

    フロイト読書会

日時:7月26日(土曜日)16時より

場所:名古屋市立大学人文社会学部国際文化学科会議室(5階515号室)

発表者:中川佳英氏(富山県立大学教授)

テーマ:フロイト「W.イェンゼンの小説『グラディーヴァ』にみられる妄想と夢」について

 当該論文は、『フロイト著作集第3巻 文化・芸術論集』(人文書院)の5-80頁の論文です。

 研究会の後、懇親会も行う予定ですので、そちらもぜひご参加ください。 

 

研究会予定・支部発表会 (2008/6/12)

 まだ先になりますが、次回の研究会を下記の要領で行いますので、あらかじめ日程調整しておいてください。詳細はまた後日お知らせ申し上げます。

  フロイト研究会

日時:7月26日(土曜日)16時から18時まで

場所:名古屋市立大学人文社会学部国際文化学科会議室(5階515号室)

発表者:中川佳英氏(富山県立大学教授)

題目:未定(フロイト論)

なお、日本独文学会東海支部の夏季研究発表会は、7月5日(土曜日)14時より、名古屋学院大学名古屋キャンパス白鳥学舎3階302教室で行われます。福岡さんのイェリネク論もありますので、こちらもぜひ参加してください。

朗読会まとめ、受賞のお祝い、依頼 (2008/5/13)

先週土曜日の作家朗読会は無事終了しました。Lydia Mischkulnigさんは、2002年出版された"Umarmung"『抱擁』という小説の冒頭部と中部の一節、それからKlaus Amann編集の"literatur/a -jahrbuch 2006"に掲載されたエッセイ(2007年)Begegnung im Gebiet、最後にオーストリアの新聞『スタンダード』に掲載された最新のテクストStimmlappenfantasienという、3つのテクストを朗読されました。小説は、語り手ichと語り手が創り出す自我アガーテとL.M.という著者自身のイニシャルを持った自我が登場し、これら3つの自我がアイデンティティをめぐって葛藤し融合し錯綜していく、つまり名づけるものと名づけられるものとの境界を越え出て、分裂した主体の構想と知覚、認識、現実描写がそれぞれに語られていくという構造を持った、ポストモダン的なアイデンティティ探求の小説であり、語られる現実も夢、幻想と交錯し、溶け合い新たな知覚や認識を志向しながら、結局は秩序を創造することができず、アイデンティティ形成について信頼できるリアリティをも構築できないことが明かされていきます。形象の概念の乖離を描いた小説とも呼べるでしょう。エッセイのほうは、スロヴェニア出身の両親を持つ彼女がドイツ語を人為的な言語として習得していくなかで、自らの文学的出自について述べたものと、世界の悲惨な事件とカフェでその記事を読む自分との、つまり現実と日常との同時性と認識のずれを、一幅の小品に仕立てたテクストです。これも形象と概念の乖離の異形ともいえましょう。作家としては、カフカの簡素で奥行きのある文体、ベルンハルトの音楽的文体を評価するとのことでした。

当日はあまり通訳する時間的余裕がなくて、ゲルマニスト以外の皆様には失礼しましたが、朗読会の雰囲気だけでも伝わっていれば幸いです。参加していただいた方々には、この場を借りてお礼申し上げます。

 また、その後、有志で懇親会を行い、大いに歓談することができました。

 ここで、嬉しいニュースをご紹介します。研究会メンバーである山口庸子さんがご高書『踊る身体の詩学』(名古屋大学出版)により、昨年度のドイツ学会奨励賞受賞に続いて、このたび日本独文学会賞を受賞されました。さらに関口裕昭さんが、ご高書『パウル・ツェランへの旅』(郁文堂)によりオーストリア文学研究会賞を受賞されました。心よりお祝い申し上げます。お二人の栄誉と喜びをともに分かち合いたいと思います。誠にご同慶のいたりです。両書はすでにこの研究会案内でもご紹介しましたが、この機会にまたぜひ手にとってご一読ください。

 最後にお願いですが、フロイト読書会継続のため、6月か7月にまた発表していただける方を募っています。フロイトの著作についての報告や、フロイトと関わる関心テーマについての発表でも結構です。

朗読会 (2008/4/19)

 三寒四温の4月も半ばを過ぎ、春の陽射しがまぶしくなってまいりました。

 さて、日程調整の結果、5月のゴールデンウィーク明けに、作家朗読・懇話会を行いますので、お誘い合わせの上、ふるってご参集くださるようお願いします。

   オーストリア作家ミッシュクルニク氏朗読会

日時:2008年5月10日(土曜日)午後4時から

場所:名古屋市立大学人文社会学部国際文化学科会議室(山の畑キャンパス、人文社会学部棟5階515号室)
 朗読会の後で、懇親会も行います。ミッシュクルニックさんも皆さんとお話できるのを楽しみにしています。プロフィールは前便に載せましたが、ウィーン在住の将来性豊かな有望作家です。

Hiermit moechte ich Sie (euch) herzlich zur Lesung einladen:

Lesung von Lydia Mischkulnig

Zeit u. Ort: ab 16 Uhr, 10. Mai 2008, Sitzungsraum der Abteilung fuer Internationale Kulturwissenschaft (5. Stock, Raum 515) im Gebaeude der Human- u. Sozialwissenschaftlichen Fakultaet an der Staedtischen Universitaet Nagoya

作家紹介 (2008/4/3)

 新学期が始まり慌しくなりましたが、皆様ご健勝のことと拝察します。

さて、4月1日より、オーストリア作家のLydia Mischkulnigさんが、本学の客員教授として来日しました。7月までの4ヶ月間の滞在です。この機会に彼女の朗読会を行いたいと思いますが、多数の方々が参加できるよう日程調整をします。

 朗読・講演会にご関心のある方は、4ー5月でご都合のよい日程(土曜日午後)をお知らせください。

作家プロフィール:

リュディア・ミッシュクルニク Lydia Mischkulnig

1963年クラーゲンフルト生まれ、現在ウィーン在住。1991年より作家。現在Sabine Schollとの共同作品執筆中。

学歴・経歴:

1981年ギムナジウム卒業

1981−85年 グラーツ音楽・表現芸術大学修了(舞台装置に関する論文により修士号取得)

1986−91年 ウィーン音楽芸術大学修了(映画・脚本・制作に関する論文により修士号取得)

1991年− フリーの作家活動

1995年− 英語圏諸国(英国、USAなど)に仕事で何度も滞在。

2005年および2006年 ブリュッセル(スイス)の国際文学館に滞在(亡命作家ジャン・アメリー・シンポジウムおよびジャン・アメリー記念碑創設プロジェクト主宰)

主要な受賞歴:

ベルテルスマン出版文学賞(バッハマン賞コンテスト入賞)1996 

オーストリア国家文学奨励賞2000

文学雑誌マヌスクプテ賞 2002

エリアス・カネッティ奨励賞 2007

主要作品:

・Halbes Leben, Roman, Droschl, Graz 1994

・Hollywood im Winter, Roman, Haymon , Innsbruck 1996

・Sieben Versuchungen, Erz?hlzyklus, DVA, M?nchen & Stuttgart 1998

・Umarmung, Roman, DVA, M?nchen, 2002

主要アンソロジー:

・ Beste Deutsche Erz?hler, hrsg. Verena Auffermann, DVA M?nchen 2000

・ Der Geschmack der Fremde,hrsg. Lucas Cejpek und Margret Kreidl Sonderzahl, Wien 2005

・ Nove Vecernice, hrsg Unicum, Drava-Verlag, 2005 Klagenfurt

・ Graz von au?en, Hrsg Alfred Kolleritsch und Klaus Hoffer, Droschl 2003 Graz 

参考となるHPは、以下の通りです。

http://www.literaturhaus.at/autoren/M/L-Mischkulnig/bio.html

http://www.lyrikwelt.de/autoren/mischkulnig.htm

http://www.buecher.de/shop/Buecher/Umarmung/Mischkulnig-Lydia/products_products/detail/prod_id/10646385/

http://www.literaturhaus.at/buch/buch/rez/mischkulnig2002/

http://www.literaturhaus.at/buch/buch/rez/lmischkulnig/

http://www.perlentaucher.de/buch/12217.html

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